沖縄の軍用地売却ガイド 価格の決まり方・流れ・税金と返還リスク

「親から相続した軍用地を、兄弟で分けるために売りたい」「借地料は入るけれど、まとまったお金が必要になった」
軍用地は、国から毎年借地料が支払われる安定した資産です。その一方で、価格の決まり方や売り方が普通の土地と違うため、「いくらで売れるのか」「どこに相談すればいいのか」がわかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、軍用地の価格の仕組みから、売却の方法・流れ・期間、税金、返還予定地のリスクまで、売る前に知っておきたいポイントをまとめました。
沖縄の軍用地は売却できる?まず知っておきたい結論
先に結論をお伝えします。沖縄の軍用地は、普通の土地と同じように売却できます。軍用地は投資商品としての人気があり、条件が良ければ買い手も見つかりやすい土地です。
ただし、価格は土地の広さや周辺の地価ではなく、「年間借地料×倍率」で決まるのが一般的です。また、返還の予定がある土地や、位置・地目に問題がある土地は、仲介では売れにくいこともあります。「高く売りたい」のか「早く確実に売りたい」のかによって、仲介・買取・県や市への売却のどれを選ぶかが変わります。
軍用地の仕組みと売却価格の決まり方
軍用地とは国に貸している土地のこと
軍用地とは、米軍基地や自衛隊の施設として使われている土地のことです。沖縄の軍用地の多くは個人などが所有する民有地で、国が借主となって土地を借り、所有者に借地料を支払っています。たとえば普天間飛行場では、飛行場内の土地の約9割が民有地とされています。
基地のフェンスの中に入ることはできないため、所有者が土地を使うことはできません。そのかわり、建物の管理や修繕といった手間がかからず、借地料を受け取り続けられるのが特徴です。
借地料は年1回、国から支払われる
借地料は、年に1回まとめて国から振り込まれます。振込は例年7月〜8月初旬ごろとされています。借地料はここ数年、毎年少しずつ値上がりしてきたといわれていますが、将来も同じように上がり続ける保証はありません。
売却価格は「年間借地料×倍率」で決まる
軍用地の売買価格は、一般的に次の式で計算します。
売買価格 = 年間借地料 × 倍率
たとえば年間借地料が50万円で倍率が50倍なら、売買価格の目安は2,500万円です。軍用地の広告に、価格ではなく年間借地料が載っていることが多いのはこのためです。
倍率は「借地料の何年分で買うか」を表す数字で、施設ごとの市況によって決まります。不動産会社が自由に決めるものではありません。参考までに、ある民間会社の調べ(2024年2月時点)では、嘉手納飛行場が51〜57倍前後、普天間飛行場が42〜49倍前後とされていました。また、宜野湾市が行っている普天間飛行場内の土地の買取(令和8年度)では、宅地の買取単価が1㎡あたり81,900円で、軍用地料の約39.7倍にあたると公表されています。
倍率は市況や時期によって大きく変わります。売却を考えたときは、必ずその時点の倍率を不動産会社に確認しましょう。
倍率を左右するポイント
- 施設の種類:返還の見込みが少なく、重要度の高い施設ほど倍率は高くなる傾向があります。
- 返還の予定:返還が予定されている施設は、将来の借地料が見込めないため倍率が低くなります。
- 地目や位置:同じ施設内でも、地目やフェンスの内外によって倍率が分かれることがあります。
- 市況:同じ施設でも、そのときの市場の状況によって取引される倍率は上下します。
沖縄の軍用地を売却する3つの方法
軍用地を売る方法は、大きく分けて3つあります。

| 方法 | 売却までの期間 | 売却価格 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 仲介 | 買い手次第(長引くことも) | 市場の倍率に近い | 時間に余裕があり、高く売りたい人 |
| 買取 | 短い(条件次第) | 仲介より低めになりやすい | 早く確実に売りたい人、売れにくい土地を持つ人 |
| 県・市への売却 | 受付期間・手続きに合わせる | 公表された買取単価 | 対象地域の土地を持ち、税の特別控除を使いたい人 |
仲介:市場で買い手を探して高く売る
不動産会社に買い手を探してもらう方法です。人気のある施設の軍用地なら、市場の倍率に近い価格で売れる可能性があります。一方で、売れるまでの期間は買い手次第です。返還予定地など人気のない土地では、価格や時期が合わず長く売れ残ることもあります。仲介について詳しくは不動産仲介についてもご覧ください。
買取:不動産会社に直接売って早く現金化する
不動産会社が直接買主になる方法です。買い手を探す期間がないため、条件がまとまれば短期間で現金化できます。仲介手数料がかからないのもメリットです。そのかわり、売却価格は仲介より低くなるのが一般的です。
県・市への売却:対象地域なら特別控除が使える場合も
普天間飛行場など一部の基地では、跡地の利用に備えて、県や市町村が道路・公園・学校などの用地として土地を先に買い取る制度(先行取得)があります。たとえば普天間飛行場内の土地は、宜野湾市へ受付期間内に申し出て売却します。この制度で売った場合、譲渡所得から最高5,000万円の特別控除の対象になりますが、すべての方が使えるわけではなく、税務署との協議も必要です。対象かどうかは、土地のある市町村に確認しましょう。
なお、普天間飛行場内の土地を民間(個人を含む)に売る場合は、宜野湾市への届出が必要で、届出から最大6週間は売却できないとされています。
軍用地売却の流れと期間
仲介・買取のどちらでも、おおまかな流れは次のとおりです。
- 相談・査定の依頼:電話や問い合わせフォームで相談します。
- 査定:年間借地料や施設、地目、位置などから売却価格を出します。
- 売却方法・条件の決定:仲介なら媒介契約を結んで買い手を探し、買取なら買取価格や決済日を決めます。
- 売買契約:条件に納得できたら契約を結び、手付金を受け取ります。
- 決済・引き渡し:司法書士の立ち会いのもと、残りの代金の受け取りと名義変更を行います。
売却にかかる期間の目安
仲介では、買い手が見つかるまでの期間が読みにくく、数か月かかることもあります。買取なら、条件がまとまれば1週間〜1か月ほどで現金化できるケースが多いとされています。相続登記が済んでいない場合や、抵当権の抹消が必要な場合は、その手続きの分だけ期間が延びます。
準備しておきたい書類
- 登記済権利証(登記識別情報)
- 実印と印鑑証明書、本人確認書類
- 国との賃貸借契約に関する書類、借地料の支払いがわかる書類(土地賃借料算定調書など)
- 固定資産税の納税通知書
借地料の金額がわかる書類があると、査定がスムーズに進みます。
軍用地の売却にかかる税金と費用

譲渡所得税(所得税・住民税)
軍用地を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税と住民税がかかります。譲渡所得は「売却価格 −(取得費+売却にかかった費用)− 特別控除」で計算します。
税率は所有期間で変わり、売った年の1月1日時点で5年を超えていれば合計20.315%、5年以下なら39.63%です(復興特別所得税を含む)。
取得費がわからない場合は注意
親の代から持っている軍用地は、買ったときの金額がわからないことも少なくありません。取得費が証明できない場合は売却価格の5%を取得費とする計算になり、税額が大きくなりやすい点に注意が必要です。昔の売買契約書などが残っていないか、早めに確認しておきましょう。
売却にかかる費用
仲介で売る場合は、仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税が上限)がかかります。買取なら仲介手数料は不要です。そのほか、売買契約書の印紙代や、抵当権を外すための登記費用などがかかる場合があります。売った翌年の2月16日〜3月15日には確定申告も必要です。
税金の特例や計算は条件によって変わり、制度が改正されることもあります。実際の税額は税務署や税理士に確認してください。
返還予定地の軍用地を売却するときのリスク
軍用地は、基地の移設や整理によって国から返還されることがあります。返還されると借地料の支払いは止まり、跡地の利用が進むまでは土地から収入を得にくくなります。
そのため、返還が予定されている施設の軍用地は投資家から敬遠されやすく、倍率も低くなる傾向があります。また、基地のフェンスの外にある土地(いわゆる黙認耕作地など)も、返還リスクが高いとして低めの倍率で取引されることがあります。
返還リスクがまったくない軍用地はありません。返還の時期がはっきりしてから売ろうとすると、さらに買い手が減ってしまうことも考えられます。返還予定地を持っている場合は、先行取得の対象になるかどうかを市町村に確認しつつ、買取も含めて早めに選択肢を比べておくと安心です。返還後の支援制度などについては、市町村や沖縄防衛局の窓口で確認しましょう。
沖縄の軍用地売却で失敗しないための注意点
位置と登記の内容を確認する
軍用地はフェンスの中にあるため、現地で場所を確かめることができません。登記簿の面積や所在と、国との契約内容が食い違っていると、取引の途中でトラブルになることがあります。売る前に登記事項と借地料の書類を照らし合わせておきましょう。
地目が「田」「畑」の土地は売り先が限られる
登記の地目が田や畑の場合、農家でない買主は農業委員会の許可を得られず、買えないことがあります。買い手の幅が狭まるため、査定のときに必ず地目を伝えましょう。
借地料の振込時期と決済日を調整する
年1回の借地料は、国に登録されている所有者に振り込まれます。売却の時期によっては名義の登録が振込に間に合わず、その年の借地料をどちらが受け取るかでもめることがあります。決済日を決めるときに、借地料の扱いも契約で取り決めておきましょう。
宅建業の免許がある会社に相談する
軍用地の取引では、宅地建物取引業の免許をもたない業者による手付金トラブルも報告されています。相談する会社が免許を持っているか、査定額の根拠を倍率や借地料からきちんと説明してくれるかを確認しましょう。
仲介と買取、どちらで軍用地を売るべき?

人気の施設にある軍用地で、売却を急いでいないなら、仲介で市場の倍率に近い価格を目指すのが基本です。
一方で、次のような場合は買取が向いています。
- 相続した軍用地を早く売って、相続人で分けたい
- 返還予定地やフェンス外の土地など、仲介では買い手がつきにくい
- 地目や面積が小さいなど、条件が特殊な土地を持っている
- 本土に住んでいて、何度も沖縄に来るのが難しい
- 周りに知られずに売りたい
沖縄不動産買取本舗は、軍用地の買取も扱っています。買取と仲介の両方に対応しているため、「仲介ならいくら・どのくらいの期間か」「買取ならいくらか」を比べたうえで選べます。遠方の方は電話やZOOMでの相談も可能で、相続した土地の換価分割や司法書士のご紹介までサポートしています。不動産を早く現金化する方法全般は、沖縄で不動産を早く現金化する方法でも解説しています。
沖縄の軍用地売却でよくある質問
借地料の振込前に売ったら、その年の借地料はどうなりますか?
借地料は国に登録されている所有者に振り込まれます。売却後の名義の登録が振込に間に合わないと、その年の借地料は売主に振り込まれることがあります。売主と買主のどちらが受け取るかを、契約のときに決めておきましょう。
共有名義の軍用地は売れますか?
土地全体を売るには、共有者全員の同意が必要です。相続で共有になっている場合は、売却の前に相続人どうしで話し合い、相続登記を済ませておくとスムーズです。
軍用地を持っていると相続税は安くなりますか?
軍用地は国の借地権がついている土地のため、相続税の評価額が下がる場合があります。ただし、評価の方法は土地ごとに異なるため、詳しくは税理士に確認してください。
査定をしたら必ず売らないといけませんか?
いいえ。査定額を聞いたうえで、売らないと判断しても問題ありません。複数の会社の査定額と根拠を比べてから決めるのがおすすめです。
まとめ:沖縄の軍用地を早く確実に売却したいなら買取も検討を
沖縄の軍用地は、「年間借地料×倍率」で価格が決まる特殊な土地です。倍率は施設や返還の予定、時期によって大きく変わるため、売る前にその時点の相場を確認することが大切です。人気の施設なら仲介で高く売れる可能性がありますが、返還予定地や条件の特殊な土地、相続で早く分けたい場合などは、買取のほうがスムーズに進むこともあります。
沖縄不動産買取本舗は、転売を目的とせず自社で保有する前提で不動産を買い取っており、軍用地の買取も承っています。仲介にも対応しているので、お客様の事情に合わせて売り方をご提案します。買取の考え方は不動産買取りについてをご覧ください。
「まずはいくらになるか知りたい」という段階でも大丈夫です。査定と相談は無料で、しつこい営業もいたしません。沖縄の不動産買取は、沖縄不動産買取本舗にお気軽にご相談ください。