沖縄の底地買取ガイド 貸している土地の相場・5つの売り方・税金を解説

「親の代から人に貸している土地を相続したけれど、地代は昔のままで固定資産税ばかりかかる」「借地人さんとのやり取りを、自分の代で終わりにしたい」
借地人の家が建っている土地(底地)は、持っていても自由に使えず、売ろうとしても「誰に、いくらで売れるのかがわかりにくい」のが悩みどころです。
この記事では、沖縄で底地の売却や買取を考えている地主の方に向けて、底地が売りにくい理由、5つの売り方と価格の目安、相場の計算方法、売却の流れ、税金の注意点をまとめました。借地人との関係を壊さずに手放すためのポイントも紹介しますので、売り方を決める前の参考にしてください。
沖縄で底地の買取を考える前に知っておきたい結論
先に結論からお伝えします。沖縄で底地を売るときは、まず借地人への売却を検討し、難しければ底地の買取に慣れた不動産会社へ相談するのが基本の順番です。
底地は、土地を完全に自由に使える人が借地人しかいないため、借地人に買ってもらうのがもっとも高く売りやすい方法です。一方で、借地人に買う意思や資金がなければ話は進みません。その場合は、借地人との交渉や管理を引き継いでくれる買取業者や、地代収入を目的とする投資家に売ることになります。
ただし、借地人以外に売ると、価格は更地の1〜2割程度まで下がることも珍しくありません。「多少安くても早く手放したい」のか、「時間をかけてでも借地人と話し合って高く売りたい」のか。まずはご自身の優先順位を決めておくことが大切です。
底地とは?借地権・所有権との違い
底地は「建物を建てる人に貸している土地」
底地とは、借地権が設定されている土地のことです。土地の持ち主(地主)は、借地人から地代を受け取る代わりに、借地人がその土地に建物を建てて使うことを認めています。地主が持っているのは「土地の所有権」、借地人が持っているのは「土地を借りて使う権利(借地権)」と「建物の所有権」です。
ひとつの土地に、地主と借地人の2人の権利が重なっている状態なので、地主であっても土地を自由に使ったり、建物を取り壊したりすることはできません。この「権利が分かれている」ことが、底地の売却を難しくしている大きな理由です。
普通借地権と定期借地権
借地権には大きく分けて、契約が更新されていく「普通借地権」と、期間が来たら土地が返ってくる「定期借地権」があります。普通借地権の存続期間は原則30年で、期間が終わっても借地人が更新を望めば、地主側に正当な理由がない限り契約は続きます。
定期借地権には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。契約期間の終わりが決まっているぶん、買い手にとって先の見通しが立てやすく、普通借地権の底地より評価されやすい場合があります。まずは手元の契約書で、どちらの借地権なのかを確認しておきましょう。
軍用地は「国に貸している土地」で扱いが別
沖縄で「土地を貸している」というと、軍用地を思い浮かべる方も多いかもしれません。軍用地は国が借りて借地料を払っている土地で、価格の決まり方や買い手の層が、個人や法人に貸している一般的な底地とは大きく異なります。軍用地の売却を考えている方は、沖縄の軍用地売却ガイドをご覧ください。
底地の売却・買取が難しいといわれる理由
底地は、同じ広さ・同じ場所の更地と比べて、かなり安い価格でしか売れないのが一般的です。その理由を知っておくと、提示された金額に納得しやすくなります。

買っても土地を自由に使えない
底地を買った人は、土地の所有者にはなれても、借地人の建物が建っている限り、自分で家を建てたり駐車場にしたりすることはできません。普通借地権であれば契約は更新されていくため、いつ土地が戻ってくるかもわかりません。「土地を使いたい人」にとっては、ほとんど魅力がないのです。
地代収入だけでは利回りが合わないことが多い
底地を持つ人の収入は、基本的に地代だけです。一方で、固定資産税や都市計画税は地主が払います。昔の契約のまま地代が低く据え置かれていると、税金を払うと手元にほとんど残らないこともあります。地代の値上げは借地借家法で認められていますが、借地人が応じなければ調停や裁判が必要になる場合もあり、簡単ではありません。
買主が住宅ローンを組みにくい
底地は担保としての価値が低く見られやすいため、金融機関の融資を受けにくい傾向があります。現金で買える人に買い手が限られるので、一般の住宅や土地のように広く買い手を募ることが難しくなります。
借地人との関係や古い契約を引き継ぐ必要がある
底地を買った人は、今の借地契約をそのまま引き継ぎます。契約書がない、口約束で貸している、更新料の取り決めがあいまい、地代の滞納がある、といった底地は、買主が後でもめごとを抱えるおそれがあるため、さらに敬遠されやすくなります。親の代、祖父母の代から貸している土地では、こうした状態になっていることも少なくありません。
沖縄の底地を売る5つの方法と価格の目安
底地の売り方は、大きく分けて次の5つです。価格は「その土地が更地だったら付く価格(更地価格)」に対する割合で示すのが一般的です。ここで紹介する割合は一般的にいわれている目安で、実際の価格は契約内容や立地、借地人との関係によって大きく変わります。
| 売り方 | 価格の目安(更地価格比) | かかる時間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 借地人に売る | 50%程度 | 交渉次第 | もっとも高く売りやすいが、借地人に買う意思と資金が必要 |
| 借地権と同時に売る | 30〜40%程度 | 数か月〜 | 借地人と売る時期・配分の合意が必要 |
| 等価交換して売る | 30〜40%程度 | 数か月〜 | 土地を分けるための測量や調整に手間がかかる |
| 買取業者に売る | 10〜20%程度 | 比較的短い | 借地人との交渉が不要で、早く手放しやすい |
| 第三者(投資家)に売る | 10%程度 | 数か月〜1年以上 | 地代の水準や契約内容がそのまま価格に響く |
借地人に売る
借地人にとっては、底地を買えば土地と建物の両方を自分のものにでき、地代や更新料の支払いもなくなります。建て替えや増改築、売却のたびに地主の承諾を取る必要もなくなるため、ほかの買い手よりも高い価格を出しやすいのです。土地と建物がそろえば、借地人が住宅ローンを使える場合もあります。
一方で、借地人に買う意思やまとまった資金がなければ成立しません。高齢の借地人の場合は、相続を控えて判断が先送りになることもあります。地主が直接持ちかけると感情的なもつれになりやすいため、不動産会社などの第三者を間に入れて話を進めるのがおすすめです。
借地権と同時に売る
地主と借地人が協力して、底地と借地権をセットにして第三者に売る方法です。買主は普通の土地付きの物件として買えるため、別々に売るよりも高く売れやすくなります。売れた代金は、借地権割合などをもとに地主と借地人で分けます。借地権割合が60〜70%の地域であれば、地主の取り分は3〜4割が一つの目安です。
等価交換して所有権の土地にしてから売る
底地と借地権を交換し、土地を2つに分けて、それぞれが自由に使える土地を持つ方法です。たとえば、地主が土地の一部を完全な所有権の土地として受け取れば、その部分は普通の土地として売ることができます。ただし、土地を分けられるだけの広さや形が必要で、測量や分筆登記、借地人との細かな調整が欠かせません。
買取業者に売る
底地の扱いに慣れた不動産会社に、底地のまま買い取ってもらう方法です。借地人の承諾がなくても底地は売れるため、地主が借地人と交渉しなくても話を進められます。買主が決まっているので、売れるかどうかを待つ時間がかからないのも利点です。
その反面、買取業者は買い取った後の借地人との交渉や管理の手間、利益を見込んで価格を決めるため、価格は更地の1〜2割程度になることが多いとされています。早く手放せる安心感と価格のバランスで判断しましょう。
第三者(投資家)に売る
地代収入を目的とする投資家に、仲介で売る方法です。買い手は地代の利回りで判断するため、地代が相場より低い底地や契約内容があいまいな底地は、なかなか買い手が見つかりません。反対に、地代が適正で、契約書や地代の受け取り記録がそろっている底地であれば、投資家に評価してもらえる余地があります。
底地の買取価格はどう決まる?相場の計算方法
「うちの底地はいくらくらいになるのか」を自分で大まかにつかんでおくと、査定額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
まずは更地価格を確認する
底地の価格を考える出発点は、その土地が更地だった場合の価格です。周辺の土地の売買価格のほか、国税庁が公表している路線価を使って目安を出すこともできます。路線価は道路ごとに1㎡あたりの価格が示されたもので、「路線価×面積」に土地の形などによる補正を加えると、相続税を計算するときの土地の評価額になります。
借地権割合から計算する
路線価図では、価格の数字のあとにA〜Gのアルファベットが付いています。これが借地権割合で、A=90%からG=30%まで10%刻みです。住宅地では60〜70%の地域が多いとされています。
底地の評価額は「更地価格×(1−借地権割合)」で計算できます。たとえば更地価格3,000万円、借地権割合60%なら、底地は3,000万円×40%=1,200万円です。ただし、これはあくまで相続税を計算するときの理論上の評価で、実際に買取業者や投資家に売る場合は、ここからさらに大きく下がるのが一般的です。
地代収入から計算する(収益還元法)
投資家や買取業者は、「その底地からいくら収入が得られるか」で価格を考えます。年間の地代から固定資産税などを引いた純収益を、期待する利回りで割る方法です。たとえば年間の地代が60万円、固定資産税・都市計画税が15万円なら純収益は45万円で、利回り6%で考えると45万円÷6%=750万円となります。地代が低いほど、価格も低くなることがわかります。
価格を左右する主なポイント
- 借地権の種類:普通借地権か定期借地権か。定期借地権で残りの期間が短いほど、土地が戻ってくる時期が近いため評価されやすくなります。
- 地代の水準:周辺の相場と比べて低すぎないか、滞納がないか。
- 契約書の有無:契約期間、地代、更新料、建て替えの承諾料などの取り決めが書面で確認できるか。
- 借地人との関係:借地人が底地の購入や同時売却に前向きかどうか、もめごとが起きていないか。
- 土地そのものの価値:立地、広さ、形、前面道路の状況など。将来土地が戻ってきたときに使いやすい土地ほど評価されます。
沖縄で底地の買取を依頼するまでの流れ
買取業者に底地を売る場合の、一般的な流れは次のとおりです。

- 契約内容と資料の確認:借地契約書、登記事項証明書、固定資産税・都市計画税の納税通知書、地代の受け取り記録などを手元にそろえます。
- 不動産会社への相談:底地であること、借地人の状況、売りたい時期などを伝えます。
- 査定:不動産会社が契約内容や土地・建物の状況、周辺の相場を確認し、買取価格や売り方の提案を出します。
- 条件の交渉:価格のほか、引き渡しの時期、地代の精算、借地人への通知の方法などを確認します。
- 売買契約:条件に納得できたら売買契約を結びます。
- 決済・引き渡し:代金を受け取り、所有権の移転登記を行います。売却後は、地主が変わったことを借地人に伝え、地代の振込先などを切り替えます。
底地の売却に借地人の承諾は必要ありませんが、何も知らせずに地主が変わると、借地人が不安を感じてトラブルのもとになります。売却が決まったら、新しい地主と協力して丁寧に伝えるようにしましょう。相続した底地の場合は、売る前に相続登記で名義を変えておく必要があります。
底地を少しでも高く・スムーズに売るためのポイント
契約書や地代の記録を整理しておく
契約書がそろっていて、地代がきちんと払われていることがわかる底地は、買い手にとってのリスクが小さくなります。契約書が見当たらない場合も、更新時の合意書や地代の振込記録など、取り決めがわかる資料を集めておきましょう。
まずは借地人の意向を確認する
もっとも高く売れる可能性があるのは借地人です。いきなり第三者に売る前に、借地人が底地を買う気があるか、同時売却に協力してもらえるかを確認しておくと、選べる売り方が広がります。
立ち退きや値上げを無理に迫らない
「高く売りたいから」と、借地人に強引に立ち退きや地代の大幅な値上げを求めると、関係がこじれて話し合いができなくなることがあります。借地人との関係が悪化した底地は、買い手からも敬遠されます。交渉は不動産会社や弁護士などの第三者を通すのが安心です。
共有名義なら全員の同意を取っておく
相続などで底地を兄弟や親族の共有にしている場合、底地全体を売るには共有者全員の同意が必要です。誰か一人でも反対すると売れないため、早めに話し合っておきましょう。
底地に慣れた会社に、複数の売り方で相談する
底地は、借地人への売却、同時売却、買取、仲介など、売り方によって価格も期間も大きく変わります。買取だけ、仲介だけと決めつけず、両方の選択肢を比べてくれる会社に相談するのがおすすめです。買取か仲介かで迷う場合は、売却方針の決め方も参考にしてください。
底地を売却したときにかかる税金
譲渡所得税と住民税
底地を売って利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税と住民税がかかります。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)−特別控除」で計算します。マイホームを売ったときの3,000万円特別控除のような特例は、人に貸している底地では基本的に使えない点に注意しましょう。
税率は所有期間で変わる
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり、所得税と住民税をあわせて約20%(復興特別所得税を含めて20.315%)です。5年以下なら短期譲渡所得となり、約39%(同39.63%)です。相続で受け継いだ底地は、亡くなった方の所有期間を引き継ぎます。
相続した底地の取得費
相続した底地の取得費は、亡くなった方が買ったときの価格を引き継ぎます。代々受け継いできた土地などで買ったときの価格がわからない場合は、売却価格の5%を取得費とすることができますが、そのぶん課税される利益は大きくなります。また、相続税を払った方が相続から3年10か月以内に売った場合は、払った相続税の一部を取得費に加えられる特例があります。
確定申告を忘れずに
底地を売って利益が出た場合は、売った年の翌年の2月16日〜3月15日に確定申告をします。特例の条件や計算には細かい決まりがあり、制度が改正されることもあるため、実際の税額は税務署や税理士に確認してください。
沖縄の底地の買取・売却でよくある質問
借地人に黙って底地を売ってもいいのですか?
底地の売却に借地人の承諾は必要ありません。借地契約は新しい地主にそのまま引き継がれるため、借地人の権利が失われることもありません。ただし、売却後に地主が変わったことを伝えないと、地代の支払い先がわからなくなるなどの混乱が起きます。売る前に借地人に購入の意向を聞いておくと、より高く売れる可能性もあります。
契約書がない底地でも売れますか?
売ることはできますが、契約内容がはっきりしないぶん、買い手のリスクが大きくなり、価格は下がりやすくなります。地代の振込記録や更新時のやり取りなど、契約の中身がわかる資料をできるだけ集めておきましょう。
借地人が地代を払ってくれていません。売れますか?
地代の滞納がある底地も、売ること自体は可能です。ただし、買い手は滞納の解決まで引き受けることになるため、価格は大きく下がる傾向があります。滞納の期間や金額、これまでの督促のやり取りを整理したうえで相談しましょう。
借地人の立場で借地権を売りたい場合は?
借地人の側から見た売却の考え方は、沖縄の借地権の買取の記事で解説しています。地主と借地人のどちらの立場でも、まずは相手の意向を確かめることが、話をまとめる近道です。
沖縄に住んでいなくても底地を売れますか?
売れます。電話やオンラインで相談し、書類のやり取りを郵送で進めることで、何度も来沖せずに売却できるケースが多いです。

まとめ:沖縄の底地は、売り方を比べてから決めましょう
底地は、土地を自由に使えない、地代収入だけでは利回りが合わない、借地人との関係を引き継ぐ必要があるといった理由から、更地より大幅に安くなりやすい不動産です。もっとも高く売りやすいのは借地人への売却で、難しければ同時売却や等価交換、買取業者、投資家への売却を検討します。契約書や地代の記録を整え、借地人との関係を大切にしながら進めることが、納得のいく売却への近道です。
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